YAMAHA OC-01 オクターバ
YAMAHA PH-01 フェーザについて書いたときにも触れたが、YAMAHA に PSE 01シリーズというのがあった。システムアップしていくつかをエフェクトケースに収め、最上位機種はパッチングできたりする憧れのシリーズで、野呂一生や和田アキラのシステムを雑誌で見て「かっこいー」と思ったものだった。そのシリーズのオクターバが OC-01 である。 一般にオクターバの回路動作は、ギター音の基本周波数(ピッチ)をコンパレータ(言ってみればfuzz)で取り出す。それをD-Flip Flopで分周してフィルタなどで味付けした信号と原音をミックスして出力する、というものだ。
それに対して OC-01の回路のポイントはふたつ。ピッキングの瞬間と持続音とでエネルギーの隔たりの大きい点を考慮した自動追従型のコンパレータを用いている点。これにより追従性能が単純なコンパレータのものより改善されている。そして基本周波数を2分周した周期の三角波信号で高速なトレモロ様の効果(古い電子回路の本にはマンドリン効果回路として紹介されているかもしれない)をかけてオクターブ下の音を作っているのが二点目である。トレモロ様効果をつけるのにはOTAが使われている。品種は新日本無線のNJM13600だった。OTAが2回路封入されている品種だが1回路しか使っていなくて勿体無いと思ってしまった。使っていない方を別の何かに適用する改造をしてみるのも面白いかもしれない。
このOC-01についてきたVRは、Effect/Directともにガリっていた。いつか交換することにしよう。またOC-01では、BOSSの電子スイッチと異なり、メカニカルスイッチによるon/offの切り替えをしている。今回その部分をメカニカルリレーによるコントロールに入れ替えた。いわゆる true bypass にはわざとしていない。外部のプログラマブルエフェクタスイッチでのコントロールが可能なように改造してある。
OC-01は高校生のときにも使っていたことがある。当時はBOSSのオクターバの「ぼーぼー」という感じよりもYAMAHA OC-01の「びーびー」という感じが好きで使っていた。
追記
自動追従コンパレータの出典はこちら。
曽根, “自動追従コンパレータ回路”, pp.414-415 実用電子回路ハンドブック 第4巻, 1980, CQ出版社
または、
「トランジスタ技術」誌 1979年9月号 の特集 (おそらく “比較回路”の章)
2004/4/8
2023/5/25